日々
まず数日間、朝寝て夕方起きる生活から抜け出せず寝ても悪夢ばかり観ていた。いるかを殺して解体したり昔のバイト先で同僚と殴り合いの喧嘩をしたりワンピースのモブキャラの独白みたいな夢だったり。精神衛生には散歩なりなんなり外出が一番効果があるとわかっていたのだけどカメラを持っている身として外出は写真の撮れる昼間にしたいのだ。日が暮れてからなんて近所のブックオフくらいしか行くところがない。ブックオフでファッションの今とかの特集の雑誌を読む、この雑誌の「今」とは2005年のことだ。完璧なまでの雑誌の死体。秋にすら気持ちが対応できず夕方遅く起きるたびに日の短さにショックを受けるほどの自分としては、果たして俺の生きている今はいつなのかもまあよくわからない。ブックオフまでの道のりだって半袖で出てしまい日が暮れたとたんに寒くて死にそうになっていた。雑誌の死体もけっこう面白い。収入ゼロ円の中からフィルム代や印画紙代まで捻出しなければいけないので流石に煙草を紙巻きに変え、あと多少自炊を楽しんでやっている(ちなみにこんな細かいことやってもほとんど無意味もちろん写真生活できない感じになっている)。
でここ数日はようやく日の短さを覚悟して早めに起きるようになって、外を歩き団地や猫や犬に会いそして季節なのでそこらじゅうの芙蓉を写真に撮った(芙蓉は清潔感があって好きです!芙蓉なのかアオイなのかわかんねーけどほとんど同じようなもん)。このように日々「だからなんなの」ってことしかやれてないのだけどべつに俺がやばかろうとあなた達には関係ないでしょ!フン!
仕事ga見tukaranai
仕事が見つからないので日記を書きます。といっても仕事というのは道ばたに落ちてるものじゃない仕事には仕事の探し方というものがある。道ばたで小銭を探すのとはわけが違う、だいたい小銭だって道を探すより自販機の下を探したほうが効率が良いに決まってる。自販機というと自販機に出る霊の話はけっこう好きなのが多い。自販機と自販機の隙間からこっちを見ていたりするやつ。
ブログを書くのに他人のブログでも見て参考にしようとしたけどブログが長いと読めない。
明らかに人と会うのが苦手になってきているわけですけど関係ないけど皆さんはちゃんと仕事をしながら土日に羽化したセミみたいにここぞとばかりに楽しいことをして盛大にお金を使っていて偉いよなあ、本当に憧れる。いくらtwitterでキチガイみたいなことばっか言ってる人でもオフ会でお会いするとしっかりした人間ばかりで甚だ感心するとともにJAROに電話したくなる。もう何も信じない、でもそんなことは4年前くらいに気づいていましたよねえ。だいたい本当にヤバそうな人のいるオフ会に行きたくないわ、よく考えたら。
今までハワイの文化とかそういうさあ、とにかく海が好きだったくせによく考えてみると7年くらい海に行ってない。ていうか7年前くらいにちらっと行ってただけでそんなに回数海にいったことない。ちなみに女の子を含むグループで海に行ったことなどいまだかつて一度も無いです。男3女2くらいの編成で一台の車にサーフボードやクーラーボックスを積み込んでご機嫌な曲をかけながら海までドライブして海が見えてくると海だーイエーイ!フゥー!で好きな女の子の水着姿にドキドキしてあ、意外に胸あるんだみたいなハイハイ離岸流離岸流。
楽しい夏は仕事と同じく自販機の下とかに落ちてない、楽しい夏には楽しい夏の探し方があるということで、金無いのに横浜まで私立恵比寿中学のイベントを見にいったんだけど金無いからどうせならこのまま海まで行こうと思い立ち海に行ったらやっぱり海は最高だった。ほぼブラジルだった。最近ほぼブラジルばっかり聞いている。ほぼブラジルめちゃ良い。
8月半ば全盛期の海ってよく考えたら人生で初めてかも知れない。7年前葉山の海に男だけで行っていた時はよく考えてみたら友達のマンション使わせてもらえるのが9月最初だったからビーチに人はまばらだった。それはそれで夜の波打ち際に夜光虫がキラキラしていてドボーンと飛び込むとぶわっと周囲が光って面白がって手をいーとーまきまき的にぐるぐるしていたら夜光虫と一緒にクラゲを巻き込んで手がァ手がァってなって、それはそれで楽しかったんだけど全盛期の海はやっぱりすごかった。皆本当に楽しそうでビーチが幸せな雰囲気に溢れてた。一人で行ったけどビーチにいる奴は皆仲間だった。古参も新規もない、海ファミリーに入れてもらった気がした。なんで大学時代地味なあいつが夏の間狂ったようにライフセーバーに行ってたのかわかった気がした。
ただの塩水があるだけなのになんでこんなに楽しいのか。俺は泳いですらいないのに楽しかった。海があったらゲームとかいらねえだろ。でかい犬もいた。仕事帰りにちょっと海に寄ったっていう女の子もいてにわかには信じがたい。このような怪しい男が話しかけても意外にも快く写真撮らせてくれるしちょっとこっちに走ってきてくださいとかいうと走ってきてくれるしデジカメの液晶画面を覗き込んで「これ荷物持ってない方が良さそうですよね」とか言って写真のことを考えてくれる始末、海すげえよ。
ぜひまた来たいけど無職には交通費が払えない。俺は思いついた、どうせ無職なんだからそれを逆手に取ってあと二日間くらいこのまま海に居れば良いじゃんて。すると無職なので海の家のビールが高すぎて速攻帰路についた。
海の魅力に気づくのが遅すぎて夏は速攻で終わった。夏ももう終わりだねってわざわざ言う奴なんなの!
また来年、もし火星に住んだら公転周期が700日近くあるから夏は二倍こないから火星に比べればマシ。冥王星ともなると公転周期248年…。
宇宙好きだけど地球から出て暮らせる気がしない。地球から人間が出て生活するにはよっぽど至れり尽くせりしてくれなければキツい。なんか仕事無いって言ってたら火星までの片道切符しかない宇宙飛行募集してたから応募しろよみたいなこと誰かに言われた気がするけど、そんなに俺地球にいらない存在なのかなって無職だから被害妄想いだくぞ。仕事探さなきゃ。
今までのあらすじ(結果的にほぼローライの話になった)
無職になったので色々逃避した結果ブログでも書くカーと思って久々に来てみたら1年くらい書いてなかったし前書いたときも無職だったようで無職だと暇なのでブログを書こうという気持ちになる。
そこでこれまでのあらすじを書きます。
ものすごく体力的にきつい仕事を1年間くらいやって60万円貯まったのでそれを生活費にして給料がやすい面白そうな仕事を1年間くらいやって辞めたというかほぼクビになりました。
60万円は生活費に使うために貯めたのに溜まった直後にどうしても欲しくなって5Dmark2というフルサイズデジカメとMacBookProとローライフレックスという二眼中判カメラを買って貯蓄ゼロ円になってそのまま数ヶ月が経過してクビになったので今非常にヤバい。ビール券もこの前使い切った。最後のビール券を使って夕飯の食材を買った時脳裏に「三枚のお札」という昔話がよぎった。
今仕事を探してます。すいません、これから探します。
5Dmark2はちょう便利でデジカメなので手軽に写真をうpできるところがちょう便利。なのでFlickrをはじめました。デジカメで撮った写真はこちらにどんどんうpしていくので見てください。
あと居候してた川渕くんが部屋を借りて豊玉暗室という暗室を作ってそれを利用できるのでその点はとてもすばらしい。問題はフィルム現像と印画紙と薬品にとてもお金がかかるところです。
MacBook Proは写真やってる人がWindowsだとディスプレイの色がどーのこーのとうるさいので影響されて買いましたがiPhone使ってるのでとても感覚的に操作できるのが心地よくてこれも良い買い物をしたと思う、あ、あとスケボーを買った。クルージングタイプのやつ。ジャンプとかするようではない。原付がぶっ壊れて川渕くんと直そうと5万円くらいかけたけど直らないのでものすごく損した感じがやばい。なので今スケボーしかない。スケボーは非常に危険な乗り物で、ていうか、あ、思い出したけどローライフレックスを鞄に入れたままスケボーして転んでアスファルトと俺でローライをプレスした結果完膚なきまでにぶっ壊れて修理に4万円かかったんだった。
壊れる前のローライ(ティランジアが入ってる)
ボディの左側にピントリングがあってそこに突き出てるのが露出計なんだけどそこが思いっきりボデリの内側にめり込んでピントリングが回らなくなっでしまいました。それだと写真は撮れないというかローライ買って俺無敵だなっていう感じがしてたのにそのローライがないのは嫌だったので安いところ探して修理に出してオーバーホールしてもらって帰ってきた。
オーバーホール後のローライ
露出計が失われているのがおわかりいただけるだろうか。というのもローライフレックスの露出計はセレン式露出計といってコイルが光に反応して電気が生まれるというロストテクノロジー感半端無い露出計なので今は修理できないので切除するしかないのだ。そもそも50年以上前の品物なので中古市場でセレン式露出計が正確に作動してる個体はあまり無くて正確に作動してるの見つけたから買ったのに勿体ないことをしたんですけどまあともあれネガフィルムなので露出計無くても勘で撮れるしオーバーホールしてもらって操作感スイスイすぎて気持ちよくなったのでいいです。あと、修理に出したことで今まで知らなかった自分のローライのことを結構知れた。ピントスクリーンにRB67というカメラのスクリーンを削りだしたものがすでに使われてる(従来品より見やすくなるらしい)とかローライフレックスの多重露光の仕方やアイレベルの撮り方とかいろいろ。俺が何を言いたいかというとスケボーは本当に危ないという話でした。身長くらいの高さから転んだだけでけっこう血が出る怪我するのでアスファルトマジ凶器っていうかスケボーする人は本当に気をつけてください。でも転ばなきゃスケボー上手くならないし無茶する人の方がどんどん上達するのでそのバランスが難しい。死ぬかスケボー上手くなるかです。
仕事をしたり人と関わることで嫌な気持ちになったりしたけど、よく考えれば楽しいことも色々あったと思います。
時間は淀みなく流れて肉体も精神も疲弊して追いつめられてるけどまあ、これからも頑張ります。お酒買ってきます。
写真の写真。
この前暗室を借りて何枚か四切にプリントしたわけです。
その中にtwitterの@furakutaruくんのシャッターペイントを手伝いにいった写真があってよく撮れていたので彼にあげたいと思った。
ところが家庭用スキャナーというのは根性が足りなくて四切をスキャンすることができない(家庭用スキャナーにもA3までできるやつとかネガスキャンという便利な機能のあるスキャナーもあるんだけど俺に根性以前に金が無かった)。
困った困ったと言っていると暗室の持ち主であるところの写真家さんが見かねてストロボを2灯繋ぐことの出来るコードをくれたのであります。
そんでどうするの?というと左右45度の角度から同じ光量で同時発光させてカメラで撮ると写真をコピーすることが出来る!!つまり写真の写真ですこれは面白い!!!
居候である川渕君のデジカメを借りてさっそくやってみました。
これです!
将棋盤がマス目的にもとても役立ったのが面白いですよね。
(正直な話もらった延長コードがかなり接触が悪くて悪戦苦闘しましたけどデジカメなので問題無いです、とっても役立ちました。)
あとズームレンズで撮影したからか四角がけっこう歪んでいる。どう撮影しても多少こうなるらしいのでどーでもいいですね。
この写真をフラクタル君がダウンロードしてシャッペのwebページとかで宣伝に使うとかしてくれるととてもいいですね。
今無職で家賃もまともに払えない危機的状況ですが、こういうことをして遊ぶととても楽しいですね。
(余談ですが平野さんからいただいたアルサットの描写力褒められました。ウクライナレンズ万歳です)
スカイツリーウォーズ
スカイツリーをたおした。
スカイツリーたおしたのたおしたって別に実際に倒壊させたわけじゃなくて少年漫画的な敵をたおすのたおしたです。
スカイツリー・メナス
スカイツリーを二回見に行ったのだけど、押上に降り立った人なら分かると思うけどスカイツリーの野郎建設途中なのに馬鹿みたいにでかくて爆笑した。もう何食ったらそんなに大きくなるのっていうかでかい.
当時399mくらいで東京タワーよりでかくなったって聞いたので行ってみた。押上に降り立った俺たちは世の中のことなにも知らない甘ちゃんでスカイツリーのこと完全に舐めてた。
振り返って最初にスカイツリーを目にしたときそれを思い知って爆笑した。
俺のカメラ、ペンタックス645(愛称「いるか」(645→大化の改新→蘇我入鹿→水生哺乳類好き→いるか(いるかのシール貼りたい(できればちょっともこもこ立体感あるタイプ(蘇我入鹿って殺されたわけだから少しでも血みどろのイメージのあるピンクのアマゾンカワイルカとかのシールがいいんだけど(シール情報絶賛募集中))))))は75mm標準レンズしか持っていなくて標準レンズをいえば人間の目に近い画角なのですが、もうどうやっても直下からフレームに収めることはできないわけです。その事実に小一時間爆笑。あ、こんなにでかいんだと思って。
あのどうやってもたおせない感すごく良かった。
普通に根元に合わせて撮るとこうなる。
全然たおせない。爆笑。
こうして
こうしてやっと。でかすぎる。
先生の攻撃
でその時一緒に行ったねみこ先生がnikonの20mm超広角レンズ持ってたんだけどそれを覗かせてもらったところなんとスカイツリー倒せてる!悔しい!俺も超広角レンズ欲しい!と強く感じながら爆笑。
スカイツリー倒せた先生ですら超興奮して「これまだ建設途中なんだよね!?今でフレームギリギリなのにあとちょっとでもでかくなったら絶対入らない!!もー太刀打ちできない!!!」って7回くらい上記のセリフを連呼する始末で、それだけスカイツリーってのはでかい、すごいでかい。馬鹿みたいにでかい。クール。もうスカイツリーがなにをやっても絶対に笑う。
あー面白かった。
もう、ちょっといい写真撮ってやろうとかそういう次元以前にフレームに入らないっていう問題が立ちふさがってて、なんとかフレームに収めたら俺の勝ち!!!みたいになるのがスカイツリーはすごいのです。
観光客の復讐
ともあれ一度目の挑戦はあえなく完敗に終わり俺はすごすごと逃げ帰ってきた。ちょっと遠くまで歩いて隅田川手前の橋から撮ってお茶を濁したりしたけどそんなのでは全くもってスカイツリーをたおしたとは言えないしそういえば俺のようにスカイツリーを舐めきってやってくる観光客はけっこう多いらしくて地元の店先にはこういうものがいたるところに置かれており異様な光景が広がっていた。
もちろん俺には自尊心があるのでこんな反射したのを撮影してあー良かったねスカイツリー倒せたねと思えるほど扱いやすい人間ではない。もう押上の砂を泣きながら袋に入れて持って帰るしかなかった。
新たなるレンズ
で、スカイツリーを何としてもぶったおしたかった俺は超広角レンズを捜し求めていたところ、ちょうど良く手に入った。だいぶ要約するとtwitterで以前から親交のあった平野さんて人が売ってくれた。
それがこのウクライナ製(ウクライナ製ってのが渋くていい)の30mm超広角魚眼レンズ、アルサット(645用アダプタつき(最近このアルサットと全く同じレンズでゾディアックというレンズをつけたこの会社の6×6カメラ見たけど露出計連動してなくていちいちおでこのところにあるダイヤルを自分で調整する感じで、あと安かった。))。購入を決める前に写真やってる人とか写真家の人に相談したのだけどみんな標準の次いきなり魚眼はやめとけと言ったのを俺はスカイツリーぶったおしたい一心で周りの反対を押し切って買うことにした。
現物見た途端爆笑。でかすぎ。面白すぎ。
で、これが75mm標準レンズ装備のペンタックス645いるかで、
これにアルサットをつけるとこうなる。
もう殺人レーザーが出る兵器みたいな感じになった。レンズがでかすぎて平面に置くとカメラが若干上を向く。俺は数日間スカイツリーに殺人レーザー光線を照射する自分を妄想して楽しんだ。レーザーの反動で後ずさりとかするわけです。
蘇我入鹿の逆襲
で、リベンジの時がやってきた。
幸運にも以前の挑戦から一ヶ月以上経過していたにも関わらずスカイツリーは展望台の内装とか作るのに夢中になっちゃってたらしく全然伸びていない。ていうか398とか書いてあってむしろあれ1m縮んでないスか?みたいな。多分どちらかが記憶違いなんだろう。
「だがその油断が命取りだ!」と俺は叫び殺人レーザー照射装置アサルトいるか(アルサット+ペンタックス645)を構え引き金を引いた。
結果がこれです!!
こうしてスカイツリーは無事たおされ、世界に平和が訪れたわけです。
アルサットの帰還(追伸)
と思ったんですがこの日一日いるかに装着したまま持ち歩いてたアルサットの様子がなんだかおかしくなった。
具体的にはカラカラいうわけです。で次の日になるとこうなっていた。
!!!壊れた!!!
外装が斜めにずれて中が見えとる!!!すげーやばいと思って知り合いのカメラに詳しい写真家の人に電話して聞いてみたらひたすら爆笑されたので憤慨して電話をガチャンと切り、ちょうどうちに下宿している川渕君という写真家の友達と自力で手術した。もうどうなっても知らないぞ!!!
パカッ。
基本的にレンズというものは素人が分解してはいけない。
しかし金の無い人はこのように自己責任で分解してみよう。
関係ないが川渕君という人は自分で色んなものを直そうと試みる性格で俺はそういうところをとても尊敬している。工具なんかもいっぱい持っていて後日俺の原付がぶっ壊れるエピソードでもその力をふんだんに発揮し俺を助けてくれる。
さてレンズですが、幸運にもギリギリ素人にも引き返せる部分で故障発見。絞りリングをまわすとカチカチ音がするでしょ?あのカチカチを生み出す直径1mmにも満たないボールの二つのうちのひとつが外れて中を好き勝手に転がっていてカラカラいってたわけです。それを元の位置にはめ込んで絞りリングをかぶせれば良いのだけどこれがなかなか上手くいかない。対照の位置にボールがあるのであっちを嵌めればこっちが嵌らずの繰り返し、小一時間ほど悪戦苦闘し最終的に紙を使って押さえ込むという川渕君の閃きにより無事アルサットは完璧に修理された。
平野さん、アルサットは元気にやっております。
つづく。
冬の話
そちらは寒いですか。こちらは今日24度ありました。バレンタインのチョコは全部溶けただろうし、陽気の良さに常連のジジイ共が春の地虫のごとくワラワラと店に集まってきて忙しかった。
そちらの冬で思い出すのは、風呂場の窓の内側に分厚く張った氷だとか、点々とつづく狐の足跡だとか、除雪車が集めた雪山の滑り台、やけに目立つ動物のうんこ(人のかもしれないけど)。
あと、とても静かだったということ。
冬の思い出には音がない。思い出すととても落ち着く。
しばれた朝には、積もった雪の表面が凍って、そろりそろりと歩けば雪に埋まらずどこまでも行けた。面白くて面白くて、除雪された通学路は通らずに、他人の家の畑をいくつも横切って学校に行ったんだ。
深く積もった雪の上を埋まらずに歩けるなんて特別な感じがして好きだった。でも気を抜くとズボッと嵌って、ガッカリしたな。
そういえば除雪すらされないあそこの道を滝壺までズボズボ歩いていくと、滝の水が凍った綺麗な氷柱があるんだ。
思い切り蹴っても全然壊れないとても頑丈な氷柱。でも今の子供はあんなところいかないだろうか。
ちなみに凍った滝の横の崖を山の中腹まで登るとそこにはなんと秘密の洞窟がある。人工的に作られたような穴で入り口には鉄格子が嵌っているんだけれど、何故か鉄格子の左下の部分が外側に捻じ曲げられていて無理すれば入れるんだ。
僕達は
「これは内側からすごい力で明けられている……!中には怪物が封印されていたのかもしれない……!」
とか言って盛り上がってた。
中の構造は一応秘密にしておこう、でも入るときに照明代わりに花火を使うのは危険なのでやめておいたほうが良いよ。
そちらの冬は素敵です。こちらの冬は24度あろうとなかろうと何故かそちらよりも寒い気がするのだ。雪も積もらないし、たまに積もったら積もったで困るだけだし、良いことないなあ。