『世界の終わりの町』


…川。
え?
あのクソみたいなドブ川、遡った事あるか?
…ないです。なにがあるんです?
なんだ、知らないのか。まあ、ここら辺に住んでる奴はもう皆忘れちまってるだろう。都合の悪い事、気持ちの悪い事、そういうのは全部忘れちまう、なかった事にしちまう。それが人だ。人はそうしないと生きていけないからな。…お前も思い当たるところがあるだろ?
…何が、言いたいんです。
特に何も。ただ、お前らが水に流した「それら」は流れとは逆にあのドブ川を遡って、ある町に溜まっているんだ。そしてその町で世界は終わる。
世界の終わりの町…?
終わりが見たきゃ一度行ってみるといい。川を遡ればすぐに終わりが見えてくる。乗せてってやろうか?
いえ…。自分のバイクで行きます。



あの人の言うとおりだ…終わりが溜まっている。



へえ、下流から来たのか。珍しいな、最近じゃあ誰もそんなことはしねぇからよ。
なにが釣れるんですか?
何がってそりゃおまえ魚だよ。まあ、気をつけて行け。
雨が降ってきた…。



どちらの、終わりへ?




道順が分からなくなってきてる…そろそろ帰らなきゃ。

世界の終わりの庭。

工事はいつ終わるのだろう?

帰らなきゃ。

世界の終わりからどこへ帰る?